コーヒーをおとす

 僕は生活で使うものにこだわりを持っている。それは、環境に配慮した物であったり、デザインであったり。今日はその一つを紹介。


 いつからだっただろうか。コーヒーを飲むようにになったのは。昔は断然、紅茶派だったのに、いつの間にかコーヒー派に寝返ってしまった。大方、きっと、デートの時に紅茶よりコーヒーの方がかっこいいなんて、背伸びでもしていたのだろう。僕でならありえる。

 でも今は家で飲むコーヒーはデカフェにしている。心臓がハカハカしてしまうので。ハカハカをわかってもらえない事が大半なので伝えると、ハカハカはドキドキとハラハラの間くらいの感覚。だから演奏前も飲まない。緊張に似たハカハカを感じるから。余談だが、僕はどうやらコーヒーの発音が違うらしい。よく「え?」と言われる。普通は「ヒー」が上がるらしいが、僕は下がる。北海道弁なまりなのか、うちの家族がそうなのか。でも英語からすると下がっている方が正しいような。


朝、コーヒーを淹れる。まず、南部鉄器の急須でじっくり時間をかけて、お湯をグツグツ。

 待っている時間というのは、何かを考えたり、思い出すもので、僕はよく大学時代に芸大寮の近くに可留茶というところが昔あって、そこでバイトしていた事を思い出す。人生で初めてウインナーコーヒーというものを知って、ソーセージのウインナーが入っているものだと本気で思っていた。シフォンケーキを人生で初めて食べたのも、その時だった。こんなフワフワなものが世の中にあるんだと思った。

 豆を擦ってフィルターに入れる。僕は紙フィルターは忙しい時だけ。普段はセラミックフィルターを使っている。その方が美味しいし、環境配慮も少し考えて。このセラミックは使い終わったら湯通ししないといけないし、5回くらい使った後は、火にかける必要があったり、手間がかかる。でも僕はこうした手間がかかるものが好きだ。

 まずコーヒーの粉を30秒、お湯で蒸らす。「ゴフォゴフォ」そんな音。おー、世界が広がっているなと思える音。

 そこからゆっくりとお湯を入れておとしていく。このおとす時の「チロチロチロチロ」という音がなんとも精神的に優しい。集中しておとすのに必要な音。「チロチロチロチロ」。


昔、本当に小さい頃、祖母にチロと呼ばれていた。本名に「ひろ」という字が入っていて、子犬のように走り回っていたかららしい。だからこの「チロチロチロチロ」は親近感があって、自分が呼ばれているよう。

 そうやって、大切におとしたコーヒーを飲みながら、愛猫の祐経と朝の戯れあい。いろいろな音に包まれる感覚に感謝。


 

 

 

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