強く生きる vol.1

 これから、少し自分の人生を書こうと思う。もし、新型コロナ拡大防止のための自粛で行き詰まっている学生や社会人がいたら読んで欲しいから。読んでもらった話から生きるヒントに少しでもなれば。

 僕は20代後半にメニエール病で音楽を完璧にやめた時期がある。その頃、夜遅くまで作曲、演奏で老人ホーム周り、他の仕事もしていて、プライベートでも徹夜で友人とお酒を飲んだりしてと今考えてみると無茶をしていたと思う。それが、たたって病気になった。どのくらいやめていたかというと6、7年。周りにはけろっとしたように見せていたけど、音楽が出来なくなった時は絶望した。その後は、韓国で日本語教師を1年、帰国して就職(その会社の話はまたいつかしたい)。仕事は厳しかった。日本語教師は早朝、昼、夜間。その間に教材作り。寝る時間はない。会社も22時退社がしばしば。でも、その生活はわりと面白かったし、今に活きていると思う。僕は音楽しか知らなかったけど、この期間、仕事に限らず多くの人と出会い、色々な生き方を教わった。掛け替えのない人生の一コマだ。


 長い時間、音楽から離れていてブランクはなかったのかと良く聞かれる。ないわけがない。しかも長い間やめていると仕事を頂いていたツテというのもなくなるものだ。再活動した当初は、普通に会社の仕事を終えて、早くて20時くらいに帰宅。そこから許されるまで練習をした。演奏の企画する余裕すらほとんどなかった。時間がもったいなかったので、風呂に浸かりながら食事をすることも良くあった。その間でも何度、挫折したかわからない。それなりに演奏レベルが戻った後も、今度はどうやって音楽活動を広げていこうか、実は去年まで悩んでいた。

 まだ話していない経験も含めて、体験談を講演で話して欲しいと言われる事がある。講演の後は良く言われるのが、自己肯定感が高いですねとか、勇気ありますよねとか。でも、実際の僕はそんなに強くない。むしろ弱い方だ。でも一つだけ得意技がある。それは頭で考えない事。やってしまう。言ってしまう。あと時に甘える。委ねる。最近は歳のせいにして少なくなってしまったけど、また、最近はそういう風にしている。やってしまえば後はなんとかなる。そういうものだと小さい時から父が口癖のように言っていた。それをいつの間にか実行するようになっていた。

 でも、甘いところもある。6、7年、音楽を辞めていた間、鬱病から1年働けない時があった。その時は相当親にも迷惑をかけた。最初の2ヶ月くらいは、病気のせいにして本や映画、お酒を楽しんでいたが、それも飽きる。でも、今考えてみると甘かったと思う。病気でも出来る事があったはずだ。やっていた事は語学の勉強や身体を鍛え直す事だったけど、もっともっと生きる事に執着すればよかった。そう思う。


 さて、今、世の中では自粛のために働けない人もいる。僕の友達だってそう。だから、生きる上で国からの助けを求める事も必要かもしれない。でも、もっと真剣に深刻に考えたい。まだ、1、2ヶ月で新型コロナが終息すると思っている人も多いかもしれないが、WHOは2年かかるとさえ言っている。国がそこまで補償してくれると思わない。だったらどうすればいいだろう。一つの仕事に執着していていいのだろうか。それがダメたら違う生き方を考えてみる事だって必要に思う。ブランクはいつだって努力次第で解消できる。それに上手いだけが人を感動させるわけではない。まずはどう生き残るかが重要なのだと思う。

 

 逃げずに生きる事を真剣に考えた時、始めて発想や気づき、そして助けてくれる人が現れる。それまでとにかく、がむしゃらに「生きる」事だけを考えればいい。それには人のせいにしない勇気が必要。なかなかできる事じゃない。でもその勇気は生き方を必ず変えてくれる。人と比べるな。自分それぞれのやり方と価値、生き方がある。


 東京芸術大学大学院を修了した時、僕は狭い邦楽の世界や日本が嫌で海外に飛び出した。ロンドンでバスキングという路上パフォーマンスをしていた。本当に何も考えていなかった。やりたい場所でただやる。アジア系のレストランでも吹いてみたらどうかと営業をして毎週、演奏していた事もある。常に一人でだ。なんのツテもない。でも必ず聴いている人はいる。するとどうだろう、最終的にはBBCで演奏までする事ができた。できない事より、今できる事を探した方が心は喜ぶし、道は開ける。

 明日は僕もどうなるかなんて、わからない。でも今日できる事を一日一日している。悩んで、悩んで暫く動けない時も勿論あるけど。それはそれでいいくらいに思って。

 

 

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